家族として接してきた文鳥が、いよいよ卵を産みました。
ですが、親鳥は卵を温めようとはしません。
こんな話を時々耳にします。
このまま放っておくと、卵はみんな命を落とすことになります。
飼い主は、何とか孵化させようと努力をするに違いありません。
卵を孵化させて、ちゃんと自分で餌を食べられる様になるまでの方法を調べてみましょう。
文鳥の卵
文鳥の共寝が上手くいくと、メスは約3日後から1つ目を産卵する様です。
- 産卵の期間:産卵から、約1週間の間に5個~6個
- 大きさ:人差し指の先より少し小さい
- 色:きれいな白色
有精卵
ペアで飼っていると、有精卵の確率が高くなります。
有精卵の見分け方は下記の通りです。
産卵から約1週間後から見分けられるようになります。
- 裸電球(光が強い電球)に透かして見る
- 卵の中に広がる血管が確認できる
- 卵の表面にも変化が起きる(一般の飼い主では、なかなか判別は難しい)
(1)抱卵約1日~2日目は変化はありません。
内部は早ければ、後半に僅かな血管が確認できる頃です。
(2)抱卵約3日~7日には赤みをおびていきます。
内部は後半にかけて、個体の血管の張り巡りの様子と目が確認できるようになります。
(3)抱卵約8日以降は青みがかった薄黒い色に変わります。
内部は血管の形成などが終わり、内臓などの形成が始まるので弱い光では、見えなくなります。
無精卵
メス1羽で飼っていても産卵しますが、全て無精卵です。
無精卵の見分け方は下記の通りです。
産卵から約1週間後から見分けられるようになります。
- 裸電球(光が強い電球)に透かして見る
- 変化なし
文鳥の有精卵を初めて見たときは感動しました。
メスの身体のことを考えて発情抑制したり、産卵しないように普段はつぼ巣は撤去していますが、つがいで飼っているとなかなか難しいです。#文鳥 pic.twitter.com/btG8Cvvh8S— kinatan (@kinatan0816) 2016年8月26日
文鳥の人工孵化を成功させる
親鳥が抱卵をしなかったら、人間が代わりに孵化させる方法もあります。
例えば、ウズラなどは、意外と苦労なく、市販の孵卵器(親鳥が抱卵するのと同じ条件を満たす構造)で孵化する様です。
文鳥の卵を市販の孵卵器に入れて孵化させる方が良い様ですが、自作の孵卵器でも「できないことはない」ということでした。
個人的には、おすすめできません。
①適当な箱に、卵を保温する器具を取り付ける
②卵を置く位置に、温度計と湿度計を取り付ける
温度は37.5度の一定に保ちます。
温度が高いと内臓の形成に良くない影響を与えて、孵化しても数週間で命を落とす確率が高い様です。
温度が低いと孵化までの時間がかかり、孵化しても身体の弱い雛が生まれて、その個体に対しては寿命を全うするまで、手がかかるとのことです。
湿度は40%~50%の一定に保ちます。
③1日に5~6回、卵を転がして、位置を変える(転卵)
転卵は素手でせずに、綿棒や耳かきで行ないましょう。
手で行なうと、孵化する確率が下がり、転卵を乱暴に行なうと、そこで発育が止まり、転卵をしないと、その卵は命を落とすなど、かなり慎重な対応が必要の様です。
④約10日目に、卵の内部を確認
内部の様子を確認して、卵を仕分けます。
孵化の最大の成功のポイントは、「温度管理」の様です。
雛が1人で餌を食べられるまでの育て方
人工孵化に成功しても、孵化した文鳥の雛は、まだ目も開かず、餌も市販のものは食べられません。
親鳥が雛を育てる場合、一度食べた餌を吐き戻して雛に与えます。
ですから、同じ状態を飼い主が作り上げなければなりません。
正直、孵化直後(孵化後14日以内)の餌やりは、かなり難しいとありました。
- 先の細いスポイト(シリンジ)などを用意する
- すり鉢などですり潰した練り餌を用意する
- 人肌に温め、冷めない内に雛に与える
- 口を開ければ、食べるだけ与えてもかまわない(1~2時間置きと考える)
- 餌やりは14日ほど続く
ここまで雛が元気に餌を食べてくれれば、成功といえるでしょう。
親鳥の体温は、約40℃~42℃です。
雛の保温には、28℃~30℃ほどを保つ様に、十分注意を払いましょう。
雛は、暑いと餌をねだる時の様に大きな声を上げることなく、口を開けます。
この時期を無事に過ごすことができ、孵化後14日(約2週間)ほど経てば、市販の文鳥と同じ様に育てられます。
餌は、3~4時間置きで与えなければなりません。
口を開かなくなるまで与えましょう。
外から見て、ソノウが餌で一杯になるのが目安です。
孵化後3週間を過ぎる頃から、雛は、そろそろ1人で餌を食べられる様になります。
それでも、まだ大人の餌(乾いた餌)を食べられるわけではありません。
お湯でふやかした粟玉が主食になります。
足りない分は、飼い主が与えなければなりません。
「雛が自分で食べる量」が「飼い主が与える量」を上回り、飼い主が与える餌に口を開かなくなってきたら、ほぼ「雛の自立」が完了します。
まとめ
文鳥をペアで飼育したからといって、必ずしも有精卵であるとは限らない様です。
また、人間の手(飼い主)による人工孵化は、かなり難しく、それを難しくしているのは、孵化までの「温度調節」と、「転卵」でした。
人工孵卵器の温度が高くても低くでも、孵化する雛に良くない影響を与え、また転卵が上手くいかないと、最悪その卵は命を落とすことになるそうです。
孵卵器を使ってなら、上手に孵化することはできる様ですが、孵化した雛を無事に2週間育てることが、次の難関といえそうです。
文鳥を1から、自分の手で立派に育て上げたいと考えて、文鳥についての知識を充分に身につけ、孵化させるための設備を整えたとしても、初めから上手くいくわけでありません。
自分の好奇心だけで、行なうのは止めた方が良い様に思いました。