家族として大切に飼っていた文鳥が、「飛んで行ってしまった(逃げた)」時の、あの突然の空虚感は、何とも言い様がありません。
誰もが「もう戻ってこない」と確信することでしょう。
ですが、心のどこかで「天敵に見つからず、どこかで生き延びてもらいたい」と思う人も多いはずです。
実は、私もこんな思いの経験者ですが、今でも出かけたついでに、神社や街路樹、または、住宅などの木々を見上げて歩くことがあります。
「どこかで元気に生きていて欲しい」と願う文鳥は、野生化してどこかで暮らしているのでしょうか。
逃げた文鳥=飼われていた文鳥
調べによると、偶然にもどこかで見つかる文鳥は、全部といって良いほど飼われていた個体が、何かの拍子にカゴから逃げたということらしいです。
特に、手乗り文鳥として飼われていたのなら、人間を怖がりません。
自分から人間に近寄っていくことも大いに考えられる様です。
迷子の文鳥を上手く捕まえることができたら、それは、「拾得物」に含まれ、警察に届ける義務がある様です。
警察で3か月保護された後、届けた人に戻される(権利が移る)様です。
飼い主が、懸命になって探していることが考えられますので、「必ず警察に届けてあげて欲しい」という意見が大変多くありました。
文鳥は野生化するのか
逃げた文鳥は、その後どうしているのでしょう。
古くは、江戸末期や、戦前に東京都や大阪、名古屋など、主要都市で文鳥の野生化が確認されたそうです。
また、地方のあちらこちらでも、飼われていた文鳥がカゴから逃げて、野生化して群れとなり、それを見かけたという情報がある様です。
ですが、1970年代を最後に、その記録もなくなってしまった様です。
文鳥の野生化は、どうやら繰り返されている様で、定着しているものではないということの様でした。
「なぜ、文鳥の野生化が定着しないのか」については、次の様な理由があるとのことです。
- 文鳥は、もともと南国の鳥であること
- 文鳥は、日本の冬に耐えられない
- 文鳥にとっての天敵(カラスや猛禽類、ネコなど)が多い
・・・などです。
環境の条件さえ合えば、いくらでも野生化できるだけの生命力や能力はある様ですが、日本の気候、特に真冬の寒さに耐えるだけの体力と知恵がない様です。
文鳥の繁殖は、春と秋といわれていますが、春に産まれた個体は、初冬まで生き延びることができるでしょう。
秋に産まれた個体は、まだ大人になり切る前に冬を迎えることになりそうです。
いずれにしても真冬に耐えられず、ほとんど(残った文鳥が確認できていない)が、命を落としたものと考えられている様です。
例え、全てが命を落としても、また飼われていた文鳥がカゴから逃げ出せば、これが繰り返されることになり、「大量発生しているのを見た」という目撃情報と、「全く見ない」という情報が、交互に現われることになり、文鳥の国内での野生化が定着しないということの様です。
まとめ
文鳥が国内で野生化できない理由は、「真冬の気候に耐えられない」ことが1番の原因ということが分かりました。
確かに、カゴから逃げた文鳥には、天敵が多いでしょう。
それでも、日本のスズメや同じく逃げ出したインコなどと変わらず、生きて行くには困らないだけの餌もあり、暖かければ、暮らしていくこともできそうです。
文鳥が、国内で野生化し、時々でも見かけることは、将来的にもないということでした。